右も左もわからない
世の多くの人は、右と左を瞬間的に区別できるらしい。
左右を身体が覚えて判断できるということらしいが、生まれてから一回もその感覚を手に入れたことがない。
おそらく「あ」という記号を見て、口を大きく円形に広げて舌を軽く口内に乗せて喉を震わせずに発声した時に出る音のことだと頭を働かせずに自然と理解できるのと同じように
「右」と聞けばこちら側のことだなぁと感じられるのだろうと推測はできる
ただ、僕自身「右」といわれた時にどちら側がその「右」なのかは常に 2分の1。等しい確率の中にある。
こっちの方が右っぽいなとかも全くなく、全くわからないのだ。
もちろん、一時的にこちらが「右」であると意識的に記憶すれば1-2時間程度暗記しておくことはできるが、数時間後、もちろん翌日には左右の確率はいつもと同じく2分の1に戻ってしまうのだ。
しかし、幸運なことに僕には、コンマ1秒ほどでこの左右わからない問題を解決できる方法がある。
左右の視力差が大きくあるので、片目をそれぞれつぶってよく見える方が「右」、よく見えない方が「左」と判断できる。
(そもそも両目が悪いので両片目をつぶらないと確定はできないのだが)
この方法で、日常生活ではギリギリ左右わからない問題を密かに切り抜けているのだが
唯一どうにもならないときがあった
教習所では、右折左折の指示を教官が急に出してくるのだ。
運転がそもそも苦手で余裕がない上に、左右の片目をつぶるというリスキーな行為ができないため当て間で曲がるということをやると、結構な勢いで(このパワハラとかに厳しい時代では考えられない程度に)怒鳴られたので左右わからない問題をどうにか解決必要がでてきた。
そこで教習所の訓練が始まる直前数分間は、まず片目それぞれつぶりどちらが右かを覚えた後、念のために何度か自主的に左右判定テストを行い
(数分おきに、右はこっちだなぁと予想したあとに目を閉じて確認をする)
訓練中の數十分は左右をわすれないように暗記をするのだ。
普段は、ここまでしなくても暗記出るのだが、運転というマルチタスクの中ではすっかり忘れてしまうので毎回念入りに備えてどうにか教習所を卒業した
(免許取得まで丸々1年かかり、免許取得の試験に7回落ちたのはまた別のお話)
現在、全く運転せず、完全なペーパードライバーとして日々を送っているのでどうか安心してほしい
教習所以外で左右わからない問題が決定的に問題になることはないのだが
地味に日々ヒヤヒヤする。
もし、同じような仲間がいて左右に視力差がないなら一体全体どんな風にしてこの苦難を切り抜けているのか。想像がつかないがそれぞれ創意工夫をこらして世の中に忍んでいるのだろう。
どうか気を強くもってがんばってほしい。みんなにエールを送る。